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社員全員で國泰寺で坐禅体験

社員全員で國泰寺で坐禅体験

2023.12.28

  • アプト通信

12月23日(土)(今年最後の土曜日出勤の日)、2日間、大雪が降り続きました。 天気は本当に厳しかったです。 すべてが白い雪で覆われており、外はとても寒かったです。 そんな特別な日に、後醍醐天皇の勅願所としても有名な国泰寺で研修に参加させていただきました。 私のような外国人だけでなく、ほとんどの日本人スタッフにとっても特別な(初めての)経験です。 雪の寒い中、どうなることかとドキドキしておりました。

寺院は高い坂の上にあり、大きな門が私達を迎え入れてくれました。

日本のお寺さんに訪問するのは初めてでした。中に入る前に靴を脱いで、靴下だけ残しました。 廊下の床はフローリングなので、足の裏がとても冷たく感じました。 しかし、各部屋の床は畳なので、フローリングよりも暖かく感じます。 私は日本で1年半働いており、畳敷きの家も数多く設計してきました。 しかし、この2種類の床の違いをはっきりと理解したのは初めてのことでした。

 

最初にお坊さんから、当日の研修のスケジュールや坐禅の注意点などについて説明を受けました。特に、研修の時間は履いている靴下を脱ぐ必要があります。これには誰もが驚きましたが、真剣に指示に従いました。

その後、坐禅をする為本堂に移動した時、足の裏が痛いほどとても冷たかったです。 もし行こうとしている部屋がどこにあるのか知っていたら、私はできるだけ早くそこへ走るだろうと思いました。 しかし、先頭のお坊さんはゆっくりと歩いておられました。 なのでそんな考えを消し、ただ呼吸をすることに集中して痛みを忘れようとしました。

 

本堂に到着すると、向かい合って2列に座りました。 お坊さんは、適切な坐禅の仕方について詳細な案内をしてくれました。 坐禅で、調えなければならない三つのものが、身体、呼吸、心です。坐禅の間は姿勢を正し、一点を見つめ、 “微動だにすること”を許されませんでしたが、お坊さんが前を通られる時に合掌して低頭し、警策と呼ばれる木の板で叩いて頂いた時にだけ、姿勢を変える為に動くことを許されました。(眠っていたり、姿勢の悪い人も叩かれるそうです)

 

20分の坐禅を2セットで、新鮮な気持ちになり、寒さはなくなりましたが、足が少ししびれていました。初めて坐禅をする人は、無念無想が難しいと思います。 但し、十分な練習を積めば、適切に坐禅できるようになって、ストレスを軽減する効果がはっきりと分かるようになります。

 

坐禅後、写経の時間になりました。 般若心経の276字の漢字が紙にうっすらと印刷されており、その字をゆっくりと筆でなぞることで写経を体験できました。文字をまっすぐに美しく書くために、その間ずっと正座をして書くことに集中しました。それは簡単な作業が、私にとって大きな挑戦でした。 会ったことがない漢字の書き方が分かりませんでした。 私のそばにとても早くて美しく書くニさん(中国出身)がいました。彼女は私が知らなかった漢字の書き方も教えてくれて、大変助かりました。 約1時間後、写経が完了しました。 私の文章はきれいではないし、なぞり間違った字もたくさんありますが、この挑戦を達成できて、とても嬉しかったです。

全員が書き終えた後、読経を行いましたが、私は読めないので、聞いているだけでした。 日本のお坊さんの読経は初めてなので、夢中になって聞きました。

 

あっという間に時間が過ぎ、お昼の時間になりました。 みんなで机の掃除をして、お昼の準備をしました。

食事時に留意すべき特別なルールがいくつかあります。

1.お昼ご飯、お米、お味噌汁、煮物、たくあんの並べる順番も決まっております。
2.食事の前後の偈(げ)を一緒に読みます。
3.料理を食べたいときは、その料理が入っている茶碗を持ち上げなければなりません。 食べる料理を変えたい場合は、その都度茶碗を持ち替える必要があります。
4.食事中は全員が食べ終わるまで正座をし、会話をしません。
5.たくあんを1個だけ残して、残さず食べます。
6.残したたくあんとお茶でお茶碗を綺麗にします。

私たちは忙しい生活の中で、テレビを見たり、携帯電話を使いながら食事をすることが当たり前になりました。 私たちは徐々に食べ物の味をしっかりと味わわなくなりました。でも当日は心配もすべて忘れて、ただ食事を心ゆくまで楽しむことに集中しました。 精進料理ではありましたが、最近食べた食事の中で一番美味しかったので、ご米とお味噌汁はおかわりしました。

 

食べた後、私と他の10人ほどが食器を片付けるためにキッチンへ行きました。 残りのグループはホール内のテーブルと椅子を片付けました。 外は寒いですが、キッチン内はとても温かい雰囲気です。 洗う人、食器を拭く人、食器を整える人など、皆で分担して仕事をしました。あっという間に食器が洗われ、分類され、きれいに並べられました。 掃除をしながら楽しくお話しました。 大きなパーティーの後、皆で一緒に片づけをして、また家に帰ったような気分になったのは久しぶりでした。仲間と仲良くなって、「One team」になりました。

 

最後、お坊さんの「感謝」と「四苦八苦」の意味についての法話を聞きました。 重要なメッセージは、いろんな仕事をする時に、大事なことが近過ぎて、見えないところにあるので、色々な事に気づいてもらたいということだと思いました。

 

現代生活では、何時でも私たちは常にたくさんのことを考えて決断しています。ストレスを持つことは当たり前です。 忙しい毎日でも、毎日 5 ~ 10 分の時間を自分のために取って坐禅をしましょう。坐禅の時間は、過去や未来の考えを排除し、現在だけに集中しましょう。今、私たちはここに座って、呼吸し、体も心もリラックスさせます。私たちが持っている物は全てが当たり前だと思わないで、私たちの知らない人々(農家、運送業者、シェフなど)の大変な努力の結果だから。 全てにおいて感謝をするべきです。 今回研修を体験したことにより人として大切な『当たり前の事』を思い出しました。このような考え深い経験をさせて頂いたことに感謝しています。

           設計部 ディン(前列右から3人目です)(ベトナム出身)